バスフィッシングで「バーサタイルロッド」と呼ばれる代表格が M(ミディアム)ロッド です。ショップや解説記事でも「まずはMから」とすすめられることが多く、初心者にとって定番の1本。
ですが――本当にMロッド1本で、すべての釣りをカバーできるのでしょうか?
本記事では、Mロッドの定義や歴史的背景、メリット・デメリットを整理しながら、なぜバーサタイルと言われるのか、どこまで万能なのか を冷静に解説していきます。
Mロッドとは?(定義と特徴)
Mロッドは「中間的なパワー」を持った番手。扱いやすさと守備範囲の広さが特徴です。
- ルアーウェイト:7〜21g(1/4〜3/4oz前後)
- 長さ:6’6〜6’10インチが基準(取り回しと飛距離のバランスが良い)
- テーパー:レギュラー〜レギュラーファーストが主流
👉 スピナーベイト、クランクベイト、テキサスリグなど、幅広いルアーに対応できる汎用性こそMロッド最大の魅力です。
Mロッドの歴史的背景
Mロッドが「基準」と呼ばれるようになったのには理由があります。
- 1990年代:日本のバス釣りブーム期、「1本で色々できるロッド」として普及
- 当時のトーナメント:Mロッドの使用率が高く、多くのアングラーにとって基準の存在に
- 2000年代以降:ML(ミディアムライト)、MH(ミディアムヘビー)などが細分化
- 現在:Mは“真ん中の番手”として位置づけられ、初心者から上級者まで幅広く支持
👉 歴史的にもMロッドは「スタンダード」の立場を築き、今もなお揺るがない存在感を誇ります。
Mロッドのメリット
- 汎用性が高い
→ とりあえず1本持っておけば、多くのシチュエーションで釣りになる安心感。 - キャストの安定性
→ 硬すぎず柔らかすぎないため、初心者でも投げやすい。 - 幅広いルアーを試せる
→ 1本でスピナベもクランクもテキサスも扱えるため、入門ロッドに最適。
Mロッドのデメリット
- ライトリグには不向き
→ ネコリグやダウンショットなど繊細な釣りにはパワーが強すぎる。 - ヘビーカバーやビッグベイトには非力
→ ウィードの濃い場所や大型ルアーでは力不足を感じやすい。
👉 「万能=完璧」ではなく、守備範囲が広いことが強み。
「Mさえあれば全部できる」と考えるのは誤解です。
実釣シーンで感じるMロッドの強み
例えば、広いエリアを巻物でサーチしたあとに、狙いをカバー周りへ切り替える場面。
Mロッドなら、スピナーベイトやクランクを投げてテンポよく探った後、そのまま7gのフリーリグに結び替えて、カバーが絡むバンクをずる引きで攻める――そんなローテーションが1本で成立してしまいます。
巻物でバスの位置を大まかに把握し、その流れでボトムの釣りにシフトできるのは大きな強み。実際にやってみると「1本でここまで対応できるのか」と思わされるはずです。
👉 もちろん、ライトリグ専用ロッドの繊細さや、ヘビーロッドのパワーには敵いません。
それでも「とりあえずMでゲームを組み立てる」ことができる安心感は、バーサタイルと呼ばれるにふさわしい理由のひとつと言えるでしょう。
Mと他番手の違いをざっくり比較
MLロッドとの違い
ライトリグや小型ルアーを扱うならML(ミディアムライト)が得意。
Mでもやれないことはないけれど、操作感や感度はMLのほうが一枚上手です。
👉 「繊細な釣りをしたい」と思ったら、MLを揃える価値があります。(関連記事予定)
MHロッドとの違い
カバー撃ちやビッグバスを狙うならMH(ミディアムヘビー)の出番。
Mで挑むと「もう少しパワーが欲しい」と感じるシーンも多いでしょう。
👉 強気の釣りに挑戦したいなら、MHの特集記事で詳しく解説します。
初心者におすすめのMロッド活用法
- 最初の1本目はMで問題なし
→ 釣りを始める段階では、Mロッドが最もバランスよく使える。 - できること/できないことを理解して使う
→ 苦手なジャンルまで無理にMでカバーしないこと。 - 将来的にMLやMHを追加
→ MLでライトリグ、MHでカバー撃ちを補うと、自分のスタイルに合ったタックル体系が完成。
まとめ
Mロッドは、バス釣りにおける“基準点”ともいえる存在。
バーサタイルという言葉にふさわしい万能感を持ちながら、すべてを完璧にこなせるわけではありません。
大切なのは――
- まずはMから始める
- 次にMLやMHで補う
この流れを理解しておくことで、タックル選びに迷う時間を減らし、釣りそのものを楽しめるようになります。
👉 次回は、よりパワーを持った MHロッド(ミディアムヘビー) を詳しく解説します。
Mでは届かない「もう一歩強い釣り」が見えてくるはずです。
詳細は MHロッド解説ページ をチェックしてください。
👉 他のロッド解説もまとめています:
➡ 【ロッド特集ページ|硬さ・長さ・用途で選ぶバスロッド解説】